ネット2 (14)
一帯は、細い道を挟んで、県営の木造の平屋と二階建てが八軒ほど立っており、その1つが自分の住まいである。半分ほどしか入居しておらず、打ち捨てられて結構劣化している建物も見受けられた。スズメは道を20mほど飛び、一軒の家の横にある桜の木に留まった。 その建物は、少し前まで知り合いが入居していたが、今は引っ越して誰も住んでいない。道に面した台所のサッシ窓から、家具が無く伽藍堂で、日の光を受けて茶色が鮮やかな、剥き出しの建材が見て取れた。するとその時、何も居ないはずの屋内を何かが横切り、同時に鳴き声が聞こえてきたのである。今少し様子を伺うと、なんと一羽のスズメが部屋の中を狂った様に飛び回っているではな…